


財務状況は慎重運営が必要な状態です。
経常収支差額が年々減少(右肩下がり)している点は回復傾向とは言いにくく、むしろ収益力が弱まっている可能性を示唆しています。
具体的には:
- 令和元年(2019年):614.4百万円
- 令和2年(2020年):647.0百万円(やや増加)
- 令和3年(2021年):431.9百万円
- 令和4年(2022年):291.6百万円
- 令和5年(2023年):112.4百万円
と、ここ数年で約5分の1まで減少しています。
ただし、「回復傾向」と述べたのは、令和3年の異常値とも言える大赤字(特別収支差額 -1340.3百万円)からの反発が見られた点を評価してのものでした。
したがって、より正確に言うなら:
財務状況は、一時的な大赤字からは回復したが、根本的な収益力は年々低下しており、楽観視できない状況です。



こちらの推移グラフは学校法人 大阪成蹊学園の財務状況です。
簡単に説明すると、上のグラフは利益の推移グラフで、下は利益となる収支科目の差額の推移グラフです。

2023年度結果
経常収支差額:1億1,240万円の黒字を計上。
(大学を運営して得た収支のことです)
基本金組込前当年度収支差額:1億4,300万円の黒字を計上。
(経常収支差額に特別収支差額を加えたものです。基本金を簡単に説明すると、将来の大学運営に必要な資金を貯金してる感じです。)

運営している学校と会社はこちらになります。
- 大阪成蹊大学
- びわこ成蹊スポーツ大学
- 大阪成蹊短期大学
- 大阪成蹊女子高等学校
- こみち幼稚園
- 株式会社セレッソ大阪とスポンサー契約を結び、地域貢献や人材育成の共同事業も推進(直接運営する会社はなし)

経常収支差額が右肩下がりですね。

令和3年(2021年)の大幅な赤字(基本金組込前収支差額 -908.4百万円、特別収支差額 -1340.3百万円)は大きな懸念点でしたが、令和4年・5年には黒字に戻っており、改善の兆しが見えます。純資産も安定的に増加しています。ただし、収支差額は年々縮小しており、余裕はあまり大きくないため、今後の運営には引き続き注意が必要です。

こちらの大学職員になるのはお勧めできますか?

この大学法人(大阪成蹊学園)の職員になることについては、**「安定志向なら可、成長志向なら慎重に」**というのが現実的なアドバイスです。以下の観点から整理します。
【おすすめできる点】
- 財務破綻リスクは低い
- 純資産は年々増加し、資産規模も大きく、すぐに倒れるような法人ではありません。
- 大赤字を出した令和3年後も持ち直しており、危機管理能力は一定あると見られます。
- 教育機関としての安定性
- 私立学校法人としては規模があり、学校群も多岐にわたる(大学・短大・高校など)。
- 教育機関特有の公的支援制度や安定的な学生需要が一定存在する。
【慎重に考えるべき点】
- 収益力が年々低下している
- 経常収支差額の減少は構造的な問題を示しており、組織全体の活力や成長力に陰りがある可能性。
- 業務効率化、人件費抑制、事業再編などのコストカット策が進む可能性も。
- 教育機関全体の市場縮小リスク
- 少子化が加速しており、今後は学生確保競争がさらに激化。
- 収入の主軸が学納金である以上、安定性は人口動態に大きく左右される。
- 内部の変化スピードは緩やかかも
- 大学法人は公的性格が強く、意思決定のスピードや業務の柔軟性が民間に比べて遅い傾向があります。
- 自発的に動きたい・成果で評価されたい人には物足りない職場かもしれません。
【結論】
- 安定した環境で腰を据えて働きたい方には向いています。
- 革新性や上昇志向、チャレンジ志向が強い方にはやや物足りない可能性があります。
ご自身のキャリア観・働き方の理想と照らし合わせるのが重要です。
学校法人 大阪成蹊学園 | |||||||||
事業活動収支計算書の状況と経年比較(単位:百万円) | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 |
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
教育活動収支差額 | 660.4 | 691.0 | 467.2 | 325.4 | 142.9 | ||||
教育活動外収支差額 | -46.0 | -44.0 | -35.3 | -33.8 | -30.5 | ||||
経常収支差額 | 614.4 | 647.0 | 431.9 | 291.6 | 112.4 | ||||
特別収支差額 | 132.3 | 37.2 | -1340.3 | 29.3 | 30.6 | ||||
基本金組込前当年度収支差額 | 746.7 | 684.3 | -908.4 | 320.9 | 143.0 |



貸借対照表(令和元年~令和5年)から見た大阪成蹊学園の財務状況について評価します。
◆ 貸借対照表からの評価(単位:百万円)
年度 | 固定資産 | 流動資産 | 固定負債 | 流動負債 | 純資産 |
---|---|---|---|---|---|
2019 (R1) | 25,479.9 | 5,688.3 | 5,791.2 | 4,112.6 | 21,264.4 |
2020 (R2) | 25,320.1 | 6,248.2 | 5,764.5 | 3,855.1 | 21,948.7 |
2021 (R3) | 22,115.6 | 8,353.1 | 5,830.3 | 3,598.2 | 21,040.3 |
2022 (R4) | 25,698.5 | 4,837.3 | 5,281.5 | 3,893.2 | 21,361.2 |
2023 (R5) | 25,290.3 | 5,291.7 | 5,241.8 | 3,836.1 | 21,504.1 |
◆ 財務面の評価ポイント
① 資産構成:健全なバランス
- 総資産のうち固定資産が大きな割合を占めており、教育機関としての設備・キャンパス資産がしっかりある。
- 流動資産も毎年5,000~8,000百万円台を保っており、短期的な支払能力(流動性)も悪くない。
② 負債:安定的に推移
- 固定負債・流動負債ともに大きな増減はなく、急激な借入や資金繰りの悪化は見られない。
- 特に流動負債(短期的な借入や支払い義務)が縮小傾向にあり、支払い余力は向上傾向。
③ 純資産:やや横ばい、安定感はあるが成長は鈍い
- 純資産は21,000~21,900百万円の範囲で推移しており、自己資本比率はおおよそ70%以上と推定され、健全な水準。
- ただし、近年は大きな増加がなく、成長性や収益性には疑問符がつく。
◆ 総合評価(貸借対照表ベース)
財務体質は堅実で安定しており、倒産リスクは低い。だが、資産・純資産の成長は停滞気味で、今後の収益拡大には課題。
◆ 補足:簡易指標(概算)
自己資本比率(純資産 ÷ 総資産)
→ 2023年:21,504.1 ÷(25,290.3+5,291.7)≒ 71%
→ 非常に良好な水準。
流動比率(流動資産 ÷ 流動負債 × 100)
→ 2023年:約138%(5,291.7 ÷ 3,836.1)
→ 通常100%超で健全とされるため、短期支払い能力に問題なし。



大阪成蹊学園の基本金データ(令和元年〜令和5年)に基づく評価は以下の通りです。
◆ 基本金組入額の推移(単位:百万円)
年度 | 第1号基本金(固定資産取得) | 第2号基本金(奨学金等) | 第3・4号基本金(特定目的) |
---|---|---|---|
2019 (R1) | 32,107.1 | 450.0 | 651.0(第4号) |
2020 (R2) | 32,686.5 | 534.2 | 651.0 |
2021 (R3) | 30,340.5 ▼(減少) | — | 651.0 |
2022 (R4) | 34,687.8 ▲(急回復) | — | 651.0 |
2023 (R5) | 34,687.8 | — | 651.0 |
◆ 評価ポイント
① 第1号基本金(固定資産対応)
- 主に建物・設備等の固定資産取得に伴う積立。
- 2021年に一時的に30,340.5百万円まで減少(固定資産の売却や減価償却が理由と推測)。
- しかし2022年には34,687.8百万円と急回復し、2023年も維持。
- これは施設投資への積極姿勢がある一方、2021年に何らかの資産処分や再編があった可能性。
② 第2号基本金(奨学金・基金)
- 2020年まで増加していたが、2021年以降は計上なし。
- 奨学金・教育支援金などの積立が止まっており、資金的余裕の縮小や方針転換が疑われる。
- 教育支援機能の充実度に陰りが出ている可能性あり。
③ 第4号基本金(特定目的)
- 一貫して651.0百万円で横ばい。新たな目的資金の積立は行われていない。
- 特定プロジェクト等への新規投資は抑えられている印象。
◆ 総合評価(基本金ベース)
基本金の基盤は一定の安定性があるが、教育支援や特定投資への積極性は低下傾向。設備投資は回復傾向にあり、長期視点の施設整備には注力している様子。
◆ 補足:リスク視点
2021年の第1号基本金減少は、同年の大赤字と連動している可能性があり、今後のバランスに注意が必要です。
基本金は「使ってはいけない内部留保」にあたるため、ここを減らすような経営は慎重にすべきです。

こちらの大学職員の給与と年収を知りたいです。

大阪成蹊学園の大学職員の年齢別給与・年収について、具体的なデータは公表されていませんが、同規模の私立大学や近隣の大学法人の情報を参考に、以下のように推定されます。
🧾 年齢別の推定年収(私立大学職員の一般的な傾向)
年齢層 | 推定年収(万円) | 備考 |
---|---|---|
20代前半 | 300~400 | 初任給は月給20~23万円程度、賞与あり |
20代後半 | 400~450 | 経験年数に応じて昇給 |
30代前半 | 450~550 | 主任クラス、月給27~30万円+賞与 |
30代後半 | 550~600 | 中堅職員、管理職手前 |
40代前半 | 600~700 | 課長補佐・係長クラス |
40代後半 | 700~800 | 課長クラス、役職手当あり |
50代前半 | 800~900 | 部長クラス、年収ピーク |
50代後半 | 900~1,000以上 | 上級管理職、年収1,000万円超も可能 |
60代 | 500~600 | 定年後再雇用などで減少傾向 |
※上記は一般的な私立大学職員の傾向を基にした推定であり、実際の給与は大学の規模や財務状況、個人の役職・職務内容によって異なります。
💡 補足情報
- 賞与(ボーナス):多くの私立大学では年2回、合計で基本給の4~6ヶ月分程度が支給される傾向があります。
- 昇給:年1回の定期昇給が一般的で、年功序列の色合いが強い傾向があります。
- 福利厚生:私学共済への加入により、医療費補助や住宅手当、育児・介護休業制度などが整備されています。
🏁 結論
大阪成蹊学園の職員給与は、同規模の私立大学と同程度と推定され、安定した昇給制度と福利厚生が期待できます。特に長期的なキャリア形成を重視する方にとっては、魅力的な職場環境と言えるでしょう。
なお、具体的な給与水準や昇進制度については、採用説明会や公式の採用情報などで確認されることをおすすめします。
以上、有り難うございました。
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