転職エージェントは、求人紹介や面接対策などを無料でサポートしてくれる強い味方です。しかし、準備ゼロで登録してしまうと「本気度が低い」と見られたり、自分に合わない求人ばかり紹介されてしまうことも…。
一方で、成功する人はエージェントに依頼する前にしっかり準備を整えています。ちょっとした工夫で、サポートの質や紹介される求人の幅が大きく変わるんです。
この記事では、「転職エージェント登録前にやっておくべき6つの準備」を具体的に解説します。これを読めば、あなたの転職活動がグッとスムーズになりますよ!


① 自己分析 ― 転職の目的をはっきりさせる
「なぜ今、転職するのか?」が曖昧だと、求人選びも面接対策もブレます。まずは目的・強み・将来像の3点を短文で言語化しましょう。
- 転職理由は1文で言える(例:業務改善で培った分析力を活かして、より裁量のある環境で年収を50万円上げたい)
- 自分の強みは3つ挙げられる(例:業務可視化/折衝/教育)
- 3〜5年後の姿が描ける(例:バックオフィスのチームリーダー)
※ 面談で読み上げやすいよう、各項目は“1行”でまとめるのがコツ。
- 「誰に/何を/どうやって ➜ どれだけ良くした」の順で1文にする
- 例:社内申請の集計をスプレッドシートで自動化し、月8時間の作業を1時間に短縮(削減率87%)




② キャリアの棚卸し ― 実績を数字でまとめる
エージェント面談や企業面接では、「何を任され、どう改善し、どれだけ効果が出たか」を数字で語れるかが勝負。まずは素材を一気に書き出し、責務(Responsibility)と成果(Achievement)を分けて整理します。
1) 素材集めチェックリスト
- 担当業務の範囲(年間/月間の規模、処理件数、予算規模など)
- 改善・自動化・コスト削減の実績(時間/費用/品質/満足度)
- 役割(リーダー/サブ/単独)、関係者(部門横断/ベンダー/顧客)
- 表彰・評価・資格(期末評価、MVP、資格更新の有無)
2) 「責務」と「成果」を分けるテンプレ
成果:スプレッドシートで在庫予測を自動化し、欠品率を 8.2% → 2.1% に改善(在庫回転率 +18%)
※ まずは責務を列挙 → その中で「自分が変えた点=成果」を抜き出すと整理しやすい。
3) STAR/SAOで1文化(面接で話しやすい形)
- STAR:Situation / Task / Action / Result
- SAO:Situation / Action / Outcome(短く言いたいとき)
S:請求処理に月16時間かかっていた →
A:関数とチェック表で二重入力を削減 →
O:処理時間を 16h → 6h に短縮、エラー率 -70%
4) 指標カタログ(数字化のヒント)
- 時間:処理時間、リードタイム、待ち時間
- 品質:エラー率、クレーム件数、再提出率
- コスト:外注費、紙/郵送費、ツール費用
- 売上・利益:受注件数、継続率、客単価、粗利率
- 生産性:一人当たり処理件数、稼働率、稼働時間あたり成果
- 教育:研修実施回数、育成人数、立ち上がり期間
5) 職務経歴「骨組み」テーブル(コピペ用)
在籍期間 | 会社・部署 | 役割/雇用形態 | 主担当 |
---|---|---|---|
20XX/04〜20XX/09 | 〇〇株式会社/運用部 | 主任(正社員) | 運用監視、改善提案、チーム教育 |
20XX/10〜現在 | △△株式会社/情報企画 | メンバー(契約) | 社内ツール自動化、ヘルプデスク |
実績(Achievements)
- スクリプト化で日次作業を3.5h → 45mに短縮(年間約600時間削減)
- 手順書整備でOJT期間を4週 → 2週に短縮(育成人数:5名)
- 定期レポートのエラー率を1.8% → 0.3%へ改善(上長評価A)
6) 離職・社歴の「空白」の説明テンプレ
20XX/06〜現在:派遣就業でブランクを解消し、直近は週次レポート改善を実施。
※ 事実+対策+再開後の行動まで書くとネガティブに見えにくい。


例えば、二重入力の削減や問い合わせテンプレ整備は立派な成果よ。
③ 履歴書・職務経歴書を「ひな形」で準備
ここでは完成版ではなく「たたき台」を用意します。エージェントの添削を受けやすく、面談スピードも上がります。
1) 履歴書(コピペ用ミニひな形)
氏名 | __________________ |
---|---|
住所 | __________________ |
連絡先 | メール:_____ 電話:_____ |
学歴 | 20XX/03 〇〇大学 〇〇学部 卒業 |
職歴 | 20XX/04 〇〇株式会社 入社(部署:__) 20XX/10 △△株式会社 入社(部署:__) |
資格 | 例:日商簿記3級(20XX/11)/FP2級(20XX/06) |
志望動機 | (面談後に調整するので暫定の1〜2行でOK) |
写真は直近3カ月以内。スーツorオフィスカジュアル、背景は無地で。
2) 職務経歴書(1〜2ページの骨組み)
例:バックオフィス運用と業務改善を中心に5年。可視化・自動化で月○時間を削減。部門横断の調整と教育も担当。
【スキル】
業務:______/IT:______/資格:______
【職務詳細】
◆ 会社名(在籍期間:20XX/XX〜20XX/XX) 役職:___ 部署:___
・責務:____________________
・成果:__________(数値:__)
・使用ツール:__________(例:Excel/Google スプレッドシート/○○)
【実績ハイライト(3つ)】
・__________(例:手順見直しでエラー率 1.8%→0.3%)
・__________(例:自動化で月○h→○h、年間○h削減)
・__________(例:FAQ整備で一次対応90%完結)
【自己PR(4〜6行)】
__________________________________
数字は丸めてOK(例:1時間→約60分、87%→約9割)。「比較(Before/After)」を必ず入れるのがコツ。
3) ポートフォリオ(該当職種のみ)
- IT・デザイン・教育などは、3〜5点のベストに絞ってリンク化(GitHub / Gist / Slides / Drive)
- 守秘対象はダミーデータ化し、機密箇所は黒塗りに
- 各作品に「担当範囲/使った技術/成果(数字)」の短文を添付
4) よくある“詰まりポイント”と対処
- 志望動機が書けない:面談後に企業別で調整する前提で「軸(何を大事にするか)」だけ先に1〜2行で
- 長文になりがち:1トピックは5行以内。箇条書きを基本に
- 空白期間が不安:事実+対策+再開後の行動の3点セットで




④ 希望条件を「必須」と「希望」に分ける
紹介スピードとマッチ精度を上げるコツは、「譲れない=Must」「あったら嬉しい=Want」を最初に切り分けておくこと。判断が早くなり、エージェント側も提案しやすくなります。
1) 条件仕分けテンプレ(コピペ用)
Must(必須) | Want(希望) |
---|---|
年収:最低 ___万円(例:現年収+50万円) 勤務地:大阪市内 リモート可 など 勤務時間:9:00-18:00 残業 月__h以下 休日:土日祝 年間休120日〜 雇用形態:正社員(契約は△ など) |
役割:リーダー候補 改善PJ参画 業界:教育 IT など 働き方:在宅週2〜3 副業可 福利厚生:住宅補助 家族手当 など |
※ 初回面談ではMustを5項目以内に。Wantは「優先度(高・中・低)」を付けると意思決定が速くなります。
2) 年収レンジの決め方(相場とのズレを防ぐ)
- 現年収:手当・賞与込みの実年収を起点に
- 希望提示:現年収+5〜10%を目安にレンジ幅(例:450〜500万円)で伝える
- 根拠:実績(削減時間○h、改善率○%など)を1〜2個だけ添える
3) 通勤・働き方の現実ライン
- 通勤:片道最長__分/乗り換え__回まで
- 出社:フルリモート ハイブリッド 原則出社(可否と頻度を明確化)
- 残業:月__時間以内(繁忙期の上限も明記)
4) 条件トレードオフの基準作り(意思決定ルール)
- 年収が-20万でも在宅週3+裁量大なら「検討可」
- 通勤+20分でも教育費補助ありなら「検討可」
- 残業+10hになるなら年収+30万 or リモート増が条件
※ 自分の「交換条件」を先に決めておくと、面談中の迷いが減ります。




⑤ 業界・企業情報を事前にリサーチ
求人票だけに頼ると「思っていた会社と違った…」となりがち。転職エージェントに会う前に、業界動向・企業の実態・口コミをざっくり押さえておきましょう。
1) 業界リサーチの基本
- 業界ニュース:日経・業界紙・専門メディアで最新動向をチェック
- 統計データ:市場規模、成長率、平均年収などを把握
- 競合比較:主要プレイヤーとその強み・弱みを理解
例:教育業界 → 少子化影響/大学は財務健全性が差別化要素/専門職大学が台頭 など
2) 企業研究のポイント
- 公式IR/事業報告:売上・利益・自己資本比率など
- 有価証券報告書・決算短信:安定性や成長性を数値で確認
- 求人票と照合:記載されている待遇・仕事内容と実績値にズレがないか
3) 口コミ・評判サイトの活用
- OpenWork/転職会議:残業時間・有給取得率・社風などを参考に
- Note/SNS:現職者・元社員のリアルな声をキャッチ
- 鵜呑みにせず「傾向を掴む」目的で活用
4) 調査結果のまとめテンプレ
主要企業:______(A社=強み/B社=弱み)
企業名:______(売上__億/自己資本比率__%)
口コミまとめ:ポジティブ=___/ネガティブ=___
自分の所感:__________________




⑥ スケジュールと家族への調整
面談・書類・面接のペース配分ができていないと、せっかくのチャンスを逃しがち。時間ブロックの確保/有給・退職までの逆算/家族との合意形成を先に決めておきましょう。
1) 週あたりの“時間ブロック”を固定する
ブロック名 | 内容 | 所要/頻度 |
---|---|---|
エージェント面談枠 | 平日夜 or 土曜午前。オンライン前提で30〜45分 | 週1(最大2) |
応募書類枠 | 職務経歴の微修正+志望動機の1〜2行差し替え | 週2 × 30分 |
面接準備枠 | 想定問答10問/逆質問3つ更新/企業研究15分 | 面接前日に45分 |
振り返り枠 | 良かった点/改善点を3つずつメモ | 各面接後15分 |
※ “日程候補は常に3つ” を用意しておくと、調整メールが1往復で決まります。
2) 逆算カレンダー(コピペ用テンプレ)
【W1】一次面接(想定問答10問を更新)
【W2】二次面接(現職の引き継ぎ案を用意)
【W3】最終面接/条件面談(年収レンジは幅で提示)
【W4】内定承諾/入社日仮決め/現職へ意向表明
【W5〜】引き継ぎ開始/有給消化計画を調整
※ 実際の選考スピードに応じて前後します。要所でエージェントに“状況共有”を入れると調整が加速。
3) 有給・退職までの段取りメモ
- 有給残日数・取得ルールを確認(締め日/計画年休の扱い)
- 繁忙期・担当業務の棚卸し(引き継ぎ資料の構成を先に作る)
- 退職・入社の候補日を2〜3パターン用意(企業側の要望に合わせやすい)
4) 家族との合意形成フレーム
- 収入:手取りの変化/賞与・手当の有無/固定費への影響
- 時間:通勤時間・残業・在宅頻度の変化
- 生活:家事分担・育児/介護の役割変更・通院などの調整点
・転職の目的=____ ・想定年収レンジ=____ ・在宅/出社=____
・生活の変化(良い点/注意点)=____ ・見直しは「1ヶ月後」に再協議
5) 情報管理とコンディション維持
- 情報管理:社内PC/クラウドに個人書類を置かない、私物端末で管理
- 体調:面接前日は睡眠>準備。当日のカフェイン摂取量も一定に
- メンタル:不採用連絡は“事実と改善点”だけをメモに残し、次回に反映


履歴書の“職務要約”だけ読み直せば、60点は取れるわ。


感情論になりにくく、協力も得やすいわ。
まとめ:エージェント面談の質は「準備量」で決まる
ここまでの6つの準備(①自己分析/②棚卸し/③書類ひな形/④条件仕分け/⑤リサーチ/⑥スケジュール調整)を整えるだけで、紹介スピードと面談の密度が一段上がります。
仕上げとして、下のチェックリストで漏れをゼロにしましょう。
最終チェックリスト(面談前の5分確認)
※ 迷った項目は、面談でエージェントに「一緒に詰めたい論点」として伝えると提案が精緻になります。


コメント